「自分だけの山を持ちたい」——そんな夢を抱きながらも、「今さら遅いのでは?」「維持費で破産しないか?」という不安で一歩を踏み出せない方は多いのではないでしょうか。2023年のキャンプブーム沈静化を目の当たりにし、プライベートキャンプ場の購入を躊躇する気持ちは十分に理解できます。
しかし、2025年の市場データを紐解くと、意外な真実が見えてきます。アウトドア市場全体は5,059億円規模へと成長予測が出ている一方、勝者と敗者の明暗がはっきりと分かれているのです。この記事では、プライベートキャンプ場購入を検討する30代後半〜50代の方に向けて、2025年最新のデータに基づいた「失敗しない購入戦略」と「小規模運営で生き残る方法」を徹底解説します。
目次
プライベートキャンプ場購入は「オワコン」か?2025年の残酷な真実
結論から申し上げます。プライベートキャンプ場購入は決して「オワコン」ではありません。ただし、従来の常識で参入すれば確実に失敗します。2025年の市場は、勝てる人と負ける人が明確に分かれる厳しいフェーズに突入しています。
市場規模5,059億円でも「予約率20%減」の明暗
2025年度の国内アウトドア用品・施設・レンタル市場は、前年度比9.2%増の5,059億円に達すると予測されています。2024年度の4,634億円から着実に成長しており、キャンプ関連用品も底打ち回復の見込みです。
しかし、この数字だけを見て「まだまだイケる」と判断するのは危険です。2023年には多くのキャンプ場で予約率が15〜20%減少するという厳しい現実がありました。コロナ特需の反動で、新規参入したキャンプ場オーナーの中には「リピーター流出で経営が成り立たない」という声も少なくありません。
つまり、市場全体は成長しているものの、その恩恵を受けられるのは「時代に適応した運営」ができる施設だけなのです。
ブーム終了説を覆す「ソロ・デュオ48.6%」の衝撃データ
2024年のキャンプ場予約データ(なっぷ発表、2025年4月4日)によると、ソロ・デュオ利用が全体の48.6%を占めるという驚くべき結果が出ています。さらに、既存ユーザー比率は55%(前年比+8ポイント)まで上昇しました。
この数字が意味するのは、キャンプ市場が「大人数でワイワイ楽しむレジャー」から「少人数で静かに過ごすプライベート空間」へとシフトしているということです。約半数のキャンパーがソロまたは2人での利用を選んでいる現状は、プライベートキャンプ場にとって大きな追い風となります。
従来の「大規模キャンプ場」が苦戦する中、「小規模で完全プライベート」という価値を提供できる施設には、むしろチャンスが広がっているのです。
ファミリー層激減で「広大な土地」が負債になる理由
2025年のゴールデンウィーク実績では、夫婦・カップルなどの少人数利用が増加する一方、ファミリー層の利用は減少傾向にあります。物価高の影響で消費の二極化が進み、「家族全員でキャンプ」というスタイルは縮小しつつあります。
この傾向が何を意味するか。かつては「広大な土地を買って大型サイトを複数作る」というのが王道でしたが、2025年においてはこの戦略が裏目に出る可能性が高いのです。グループサイトは空室が目立ち、ファミリー向けの設備投資が回収できないという声も聞かれます。
逆に言えば、50坪以下の小規模な土地でソロ・デュオ特化のプライベートキャンプ場を運営する方が、投資効率も稼働率も高くなる時代が到来しているのです。
購入前に知るべき「3つの地獄」と回避ルート
プライベートキャンプ場購入を夢見る方の多くが、実際に運営を始めてから「こんなはずじゃなかった」と後悔しています。ここでは、購入前に必ず知っておくべき3つの「地獄」と、それを回避するための具体的な方法をお伝えします。
【金銭地獄】森の開拓費用と回収見込みの甘い罠
「山林なら安く買える」——この考えは半分正解で半分間違いです。確かに山林の土地価格自体は、平地と比べて格安で手に入ることがあります。しかし、問題は購入後にかかる「開拓費用」です。
実際に個人でプライベートキャンプ場を構築したオーナーの決算データ(2021年ベース)を見ると、森の開拓だけでも想定以上の金銭的負担がかかっていることがわかります。木の伐採、根の除去、整地、排水設備など、素人が想像する以上の工程と費用が必要となるのです。
回避策としては、「すでにある程度整備された遊休地」や「元農地で平坦な場所」を選ぶことが挙げられます。開拓のロマンに酔って原生林に手を出すと、土地代の数倍の費用がかかることを覚悟してください。
【集客地獄】大手サイト依存では「平日」が埋まらない
プライベートキャンプ場を購入した後、多くのオーナーが直面するのが「平日の稼働率問題」です。大手予約サイト(なっぷ等)に登録すれば集客できると考えがちですが、現実はそう甘くありません。
2024年のデータによると、繁忙期(7〜9月)の予約構成比は32.3%で、2019年の46.1%から14ポイントも減少しています。これは予約の通年分散化が進んでいることを意味しますが、同時に「平日をいかに埋めるか」が経営の鍵になっていることも示しています。
大手サイトは週末・祝日の予約には強いものの、平日促進策が十分とは言えません。プライベートキャンプ場の強みは「完全貸切」「自前予約システム」で柔軟に対応できる点です。SNSでの直接集客や、リピーター向けの会員制度など、大手に依存しない集客チャネルの構築が不可欠です。
【維持地獄】草刈りと近隣トラブルで心が折れる時
土地を購入し、開拓を終え、集客もうまくいき始めた——そこで終わりではありません。プライベートキャンプ場運営で最も精神的に堪えるのが「維持管理」の負担です。
夏場は週に1回以上の草刈りが必要になることも珍しくありません。都会に住みながら週末だけ管理する場合、往復の交通費と時間も馬鹿になりません。さらに、山間部では近隣住民との関係構築も重要です。夜間の騒音、焚き火の煙、見知らぬ車の出入りなど、トラブルの種は尽きません。
回避策は「最初から維持コストを計算に入れる」ことです。草刈り業者への外注費、近隣への挨拶回りの時間、そして「自分が行けない週」の管理体制まで、購入前にシミュレーションしておくことが心の余裕を生みます。
2025年版:失敗しないプライベートキャンプ場「土地選び」5つの条件
ここまでリスクを理解した上で、それでもプライベートキャンプ場購入に挑戦したいという方のために、2025年の市場環境に最適化された「土地選びの5条件」をお伝えします。
ターゲットは「ソロ・デュオ」に絞り50坪以下を狙え
前述の通り、キャンプ利用者の48.6%がソロ・デュオです。この層をメインターゲットに据えることで、必要な土地面積を大幅に縮小できます。
具体的には、50坪(約165㎡)以下の土地で十分です。1〜2人用のテントサイト、焚き火スペース、駐車場1台分があれば、プライベートキャンプ場として成立します。土地が小さければ購入費用も維持費用も抑えられ、草刈りの負担も軽減されます。
「広大な土地を買って将来拡張」という発想は捨ててください。2025年の勝ち筋は「小さく始めて、高単価で回す」です。
「通年利用」が可能か?冬キャンプ需要の取り込み方
繁忙期(7〜9月)の予約構成比が32.3%まで下がっているということは、残りの約68%は繁忙期以外に分散しているということです。特に注目すべきは、冬キャンプ需要の高まりです。
通年利用が可能な土地を選ぶポイントは、「積雪量」「アクセス道路の除雪状況」「気温」の3点です。標高が高すぎる場所は冬季閉鎖を余儀なくされ、稼働率が大幅に下がります。
理想的なのは、標高300〜600m程度で、幹線道路から近く、冬でもアクセス可能な場所です。「夏は涼しく、冬も営業できる」立地を選ぶことで、通年稼働という大きなアドバンテージを得られます。
インフラ(水・電気)より「携帯電波」が資産価値を決める
従来の常識では、キャンプ場には水道と電気が必須とされてきました。しかし、2025年のソロ・デュオキャンパーにとって、最も重要なインフラは「携帯電波」です。
リモートワークの普及により、「平日は山でワーケーション、夜はキャンプ」というスタイルが増えています。水はポリタンクで持ち込み、電気はポータブル電源で対応できますが、携帯電波だけは現地の環境に左右されます。
土地を検討する際は、必ず現地で複数キャリアの電波状況を確認してください。4G LTEが安定して入る場所であれば、「ワーケーション対応」という付加価値を打ち出すことができ、平日の稼働率向上にも直結します。
近隣に「高単価消費」を促す地域イベントがあるか
2025年のGW実績によると、物価高の影響で高額ギアの売上は不振である一方、地域イベントと連携したキャンプ場では売上が110〜149%増という事例も報告されています。
これは、キャンパーが「キャンプ単体」ではなく「キャンプ+α」の体験を求めていることを示しています。近隣に道の駅、地元の祭り、農産物直売所、温泉などがある立地を選ぶことで、宿泊単価以外の収益チャンスも生まれます。
孤立した山奥の秘境は魅力的に見えますが、ビジネスとして成立させるなら「30分圏内に魅力的なスポットがある」場所を選ぶことをお勧めします。
再販価値(出口戦略)がある「平坦地」を選べ
最後に、意外と見落とされがちなのが「出口戦略」です。プライベートキャンプ場
最後に、意外と見落とされがちなのが「出口戦略」です。プライベートキャンプ場経営がうまくいかなかった場合、あるいは10年後に売却したくなった場合、その土地を誰が買ってくれるのかを考えておく必要があります。
傾斜地や原生林の山林は、キャンプ場以外の用途が限られるため、再販価値が極めて低くなります。一方、平坦で整地済みの土地であれば、資材置き場、太陽光発電用地、農地など、キャンプ場以外への転用も可能です。
「一生ここでキャンプ場をやる」と決意していても、人生には予測できない変化があります。出口を確保できる土地を選ぶことは、リスク管理の基本です。
プライベートキャンプ場を「稼ぐ資産」に変える運営術
良い土地を見つけても、運営方法を間違えれば赤字が続きます。ここでは、2025年の市場環境で収益を最大化するための運営術を解説します。
自前予約システムで手数料地獄から脱出
大手予約サイトの手数料は、売上の10〜15%程度が相場です。月に10万円の売上があれば、1〜1.5万円が手数料として消えていきます。年間で12〜18万円——小規模運営では無視できない金額です。
プライベートキャンプ場の強みは、顧客との直接的な関係構築が可能な点にあります。InstagramやX(旧Twitter)で世界観を発信し、LINE公式アカウントやGoogleフォームで直接予約を受け付ける体制を整えれば、手数料ゼロで運営できます。
最初は大手サイトで認知を獲得し、徐々に直接予約に誘導していく「卒業戦略」が効果的です。
「1日1組限定」の価値を最大化する価格設定
プライベートキャンプ場の最大の武器は「完全貸切」という希少性です。これを活かさない手はありません。
一般的なキャンプ場のサイト料金は2,000〜5,000円程度ですが、「1日1組限定・完全プライベート」を打ち出すことで、1泊15,000〜30,000円の価格設定も可能です。特に、記念日利用、プロポーズ、家族の特別な思い出づくりなど、「ここでしか味わえない体験」を求める層は価格感度が低い傾向にあります。
週末は高単価で回し、平日は少し価格を下げてワーケーション需要を取り込む——この二段構えの価格戦略が収益の安定につながります。
維持管理コストを「見える化」して継続可能な運営へ
多くのプライベートキャンプ場オーナーが挫折する原因は、「思った以上に手間がかかる」という心理的負担です。これを防ぐには、維持管理コストを事前に「見える化」しておくことが重要です。
具体的には、年間スケジュールを作成し、月ごとに必要な作業と概算費用を書き出します。春は枝払いと害虫対策、夏は週1回の草刈り、秋は落ち葉処理、冬は設備メンテナンス——このように年間サイクルを把握しておくだけで、心の準備ができます。
また、「自分でやること」と「外注すること」を明確に分けておくことも大切です。草刈りを業者に頼めば1回1〜2万円程度かかりますが、その分の時間を集客やコンテンツ作成に充てられます。トータルで見たときに何が最適かを考えてください。
「夢」を「事業」に変えるために必要な覚悟
ここまで読んで「やっぱり大変そうだ」と感じた方も多いでしょう。その感覚は正しいです。プライベートキャンプ場購入は、ロマンだけで突き進めるほど甘い世界ではありません。
しかし、だからこそチャンスがあります。市場が成熟期に入り、安易な参入者が減る2025年以降は、本気で取り組む人にとっては追い風です。ソロ・デュオ市場という成長セグメントを狙い、小規模・高単価の運営モデルを確立すれば、「週末だけの副業」として月10〜20万円の収益を生む資産になり得ます。
プライベートキャンプ場は「買って終わり」ではありません。「買ってからが本当のスタート」です。この記事で紹介したリスクと対策を頭に入れ、それでも挑戦したいと思えるなら、ぜひ一歩を踏み出してください。
2025年、成熟するキャンプ市場で成功を掴むのは、夢とデータの両方を持った賢い挑戦者です。