山林売買.com
TOP 山林を売る 山林売却の相場と計算方法【2026年】立木価格から手取りを試算
山林売却の相場と計算方法【2026年】立木価格から手取りを試算
山林を売る

山林売却の相場と計算方法【2026年】立木価格から手取りを試算

読了目安: 17分 公開: 2025.12.26 更新: 2026.08.25

山林の売却相場は立木と土地に分けて計算します。2025年3月末の山元立木価格はスギ4,026円/m³、用材林地の素地価格は10a当たり4万533円。公的統計での概算方法、0円査定の条件、届出と税金まで解説。

相続した山林がいくらになるのか、調べても答えが出ないという声をよく聞きます。ネットの情報は「坪数十円」から「坪数千円」まで幅がありすぎて、自分の山がどちらに近いのか判断できません。

分かりにくいのには理由があります。山林の価格は「立木(生えている木)」と「土地(木を取り払った後の地面)」の二階建てで決まり、それぞれ別の統計で動き、売却時の税金のルールまで別々だからです。この構造を知らずに査定を受けると、提示額が妥当か検証できません。

この記事では、林野庁と日本不動産研究所が公表している価格統計を使って、ご自身の山林の概算額を自分で計算する手順を示します。あわせて、査定が0円になる山の条件、売買にともなう届出、立木と土地で分かれる税金、売れない場合の出口までを2026年時点の制度に合わせて整理しました。数字はすべて出典付きです。査定書を受け取ったときの物差しとしてお使いください。

山林の相場は「立木」と「土地」の二階建てで決まる

宅地なら「坪単価×坪数」で見当がつきますが、山林はそうはいきません。同じ1ヘクタールでも、樹齢50年のヒノキが密に育つ山と伐採直後の裸地とでは価格が一桁違うこともあります。

木の値段を示す代表的な指標が山元立木価格(やまもとりゅうぼくかかく)です。一般財団法人日本不動産研究所が毎年3月末時点で調査し、林野庁も公表しています。定義は「最寄りの木材市場渡しの素材(丸太)価格から、伐木・造材および運搬費等の生産諸経費を差し引いた、利用材積1立方メートル当たりの価格」です。伐り出すコストを引いた後、山の所有者の手元に残る単価と考えてください。

地面そのものの値段を示す指標が山林素地価格(さんりんそじかかく)です。林地を林地として使う前提の売買価格で、宅地見込みや観光開発で著しく高くなった事例は除いて集計されています。

2025年3月末時点の全国平均(最新公表値)

指標 全国平均 前年比
山元立木価格(スギ) 4,026円/m³ -2.4%
山元立木価格(ヒノキ) 9,494円/m³ +6.2%
山元立木価格(マツ) 2,453円/m³ -4.6%
山林素地価格(用材林地=針葉樹林地) 40,533円/10アール -0.6%
山林素地価格(薪炭林地=広葉樹林地) 28,567円/10アール -0.2%

出典は林野庁「森林の売買・評価に関する情報」、および日本不動産研究所「山林素地及び山元立木価格調(2025年3月末現在)」です。北海道・沖縄を除く全国平均で、品等は「普通」の水準にあたります。

用材林地の40,533円は10アール当たりの数字です。1ヘクタール(100アール)に直すと約40万5千円、1坪当たりでは約134円。地面だけの価値としては、この程度が全国平均の実像です。

水準感も押さえておきましょう。同調査によれば、スギの立木価格は過去最高だった1980年の22,707円/m³に対して17.7%、用材林地価格は1983年の89,383円/10アールに対して45.3%の水準です。ウッドショック期にいったん上向きましたが、その後は再び弱含んでいます。ヒノキだけが2年続けて上昇している点が直近の特徴です。

【計算方法】自分の山の概算額を出す3ステップ

ここからは公表統計を使って概算を出す手順です。森林簿と電卓があれば計算できます。

STEP1 樹種・林齢・材積を森林簿で確認する

森林簿は都道府県が整備している森林の台帳で、樹種、林齢、面積、1ヘクタール当たりの材積などが記載されています。所有者本人であれば都道府県や市町村の林務担当窓口で閲覧や写しの交付を受けられます(手続きや呼称は自治体で異なります)。あわせて法務局で登記事項証明書と公図、市町村で固定資産税の課税明細書を取り寄せれば、面積・地番・名義が確定します。

STEP2 立木の概算額 = 利用材積 × 山元立木価格

森林簿に載っている材積は幹全体の体積(立木材積)です。一方、山元立木価格が対象とするのは末口径20〜22cm・長さ3.65〜4m程度の並丸太に換算した利用材積で、立木材積より小さくなります。試算では控えめに見積もるほうが実態に近づきます。

たとえばスギ人工林1ヘクタールで、利用材積を250m³と仮定した場合は次のとおりです。

250m³ × 4,026円 = 約100万円

STEP3 土地の概算額 = 面積 × 山林素地価格

1ヘクタールは100アールですから、用材林地の素地価格を当てはめると次のようになります。

40,533円 × 10 = 約40万5千円

項目 前提 概算額
立木(スギ) 利用材積250m³ × 4,026円 約100万円
土地(用材林地) 1ha × 40,533円/10a 約40万5千円
合計 スギ人工林1ha 約140万円

この140万円は全国平均の統計値を機械的に当てはめた机上の数字です。実際の提示額はここから上にも下にも大きく振れます。振れ幅の原因は経費側にあります。

「搬出係数」を別に掛ける計算式には注意

ネット上には、立木価格に0.3〜0.9の「搬出係数」を掛ける計算式が流通しています。しかし山元立木価格は定義上すでに伐木・造材・運搬などの生産諸経費を差し引いた後の数字です。そこにさらに係数を掛けると、搬出コストを二重に引くことになります。

正しい捉え方は「山元立木価格は全国平均的な条件で経費を引いた後の値」というものです。自分の山の条件が平均より悪いなら、係数で割り引くのではなく、そもそも山元価格が全国平均を大きく下回る(条件によってはゼロ以下になる)と考えるほうが実態に合います。

査定が0円・マイナスになる山の条件

統計で計算すると百万円台になる山でも、実際には買い手が付かない、あるいは「引き取り費用をいただきます」と言われることがあります。原因は木の価値ではなく、伐り出すコストにあります。

  • 作業道・林道がない、または大型車が進入できない
  • 面積が小さく、重機の搬入・搬出という固定費が1回分まるごと乗ってしまう
  • 傾斜が急で、架線集材など高コストな搬出方法しか選べない
  • 境界杭がなく、隣地所有者との立会いが済んでいない
  • 林齢が若く、丸太として値が付く径級に達していない

日本不動産研究所の同じ調査では、用材林地の価格が下落した理由として最も多く挙げられたのが「買い手がない」で15.7%、以下「高齢化」12.5%、「林業経営の先行き不安」12.1%、「林業後継者の減少」10.7%、「木材価格が下落した」9.4%と続きます。価格の弱さは木材相場そのものよりも、需要の細さから来ていることが読み取れます。買い手が付きにくい山の特徴は山を売るときに断られる理由をまとめた記事でも整理しています。

境界の問題は特に厄介で、測量費用が売却代金を上回り持ち出しになる例もあります。山林測量費用の相場と回避策で目安を確認したうえで、測量が本当に必要な取引かどうかを買主と詰めてください。

木材需要そのものが弱いわけではありません。林野庁「令和6年(2024年)木材需給表」によれば2024年の木材自給率は42.5%、国内生産量は3,480万9千m³で前年より1.4%増えました。国全体の需要と、条件の悪い個別の山への引き合いは別の話です。

相場を確かめる:書類の準備と依頼先の選び方

査定を頼む前に揃える4点

  1. 登記事項証明書と公図(法務局)
  2. 固定資産税の課税明細書または納税通知書(市町村)
  3. 森林簿の写し(都道府県・市町村の林務担当窓口)
  4. 境界に関する資料(測量図、境界確認書、過去の伐採記録など)

書類が揃っていない状態で査定を依頼すると、業者は不明点をすべてリスクとみなして価格から差し引きます。書類を整えることは、売主ができる数少ない「値上げ」の手段です。

依頼先は大きく3タイプ

依頼先 強み 向いている山
森林組合 地域の森林事情と施業に精通。管理委託・間伐・森林経営計画の相談ができる 当面は保有を続けつつ管理負担を下げたい山
素材生産業者(林業会社) 立木を直接買い取る。市場への販路を持つ まとまった面積があり、作業道が付いた人工林
山林を扱う不動産会社 土地としての売買。レジャー・移住需要の販路 アクセスが良く、キャンプ場や別荘用地として使える立地

森林組合の使いどころは山を売りたい人が森林組合を選ぶべき理由で扱っています。複数社に見積もりを取るときは、同じ資料・同じ範囲で依頼しないと比較になりません。「立木のみの買い取りか、土地込みの売買か」「伐採後の造林費用はどちらが負担するか」「境界確定の責任と費用は誰が持つか」「代金の支払い時期はいつか」の4点を書面で揃えてください。この4点が違うだけで金額の大小は簡単に逆転します。

市場に出ている物件の売り出し価格は、統計上の素地価格とは開きがあります。実勢の水準感は山林相場の実査データをまとめた記事もあわせてご覧ください。

売買にともなう届出と、立木・土地で分かれる税金

忘れやすい3つの届出

森林の土地の所有者届出(森林法第10条の7の2)は、売買や相続などで地域森林計画の対象森林を取得した人が、面積にかかわらず取得日から90日以内にその土地のある市町村長へ提出します。国土利用計画法にもとづく土地売買契約の届出を提出した場合は不要です(林野庁「森林の土地の所有者届出制度」)。

国土利用計画法の事後届出は、一定面積以上の土地取引で権利取得者(買主)が契約締結日から2週間以内に、市町村長を経由して都道府県知事へ提出します。面積要件は市街化区域で2,000m²以上、市街化区域以外の都市計画区域で5,000m²以上、都市計画区域外で10,000m²以上です。山林の多くは都市計画区域外にあるため、1ヘクタール以上の取引が目安になります(国土交通省「土地取引規制制度」)。

伐採及び伐採後の造林の届出(森林法第10条の8)は、立木を伐採する場合に伐採開始の90日前から30日前までに市町村へ提出します。伐採完了日から30日以内、造林完了日から30日以内にも状況報告が必要です(林野庁「伐採及び伐採後の造林の届出等の制度」)。伐採してから売るのか立木ごと売るのかで、この届出を誰が出すかが変わります。

税金は「立木=山林所得」「土地=譲渡所得」

山林を伐採して譲渡した所得、または立木のまま譲渡した所得は山林所得になります。ただし取得から5年以内に譲渡した場合は、事業所得または雑所得として扱われます。

計算式は「総収入金額 − 必要経費 − 特別控除額(最高50万円)= 山林所得の金額」で、税額は他の所得と分離した5分5乗方式(課税山林所得金額 × 5分の1 × 税率)× 5 で求めます(国税庁 タックスアンサー No.1480 山林所得)。長期間かけて育てた木を1年で売ることによる累進税率の跳ね上がりを抑える仕組みです。

必要経費は、その年の15年前の12月31日以前から引き続き所有していた山林であれば概算経費控除を選べます。収入金額から伐採費・運搬費等の譲渡費用を差し引いた金額の50%を必要経費とみなす方法で、確定申告書にその旨を記載することが適用条件です。認定を受けた森林経営計画にもとづく伐採・譲渡なら森林計画特別控除も使えます。選択による税額差は山林所得の計算で差がつく5分5乗と概算経費の使い分けで解説しています。

一方、土地部分の売却益は分離課税の譲渡所得です。譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得となり、税率は所得税15%+住民税5%に復興特別所得税を加えた合計約20.315%です(国税庁 タックスアンサー No.3208)。

相続や贈与で取得した山林は、原則として前の所有者の取得時期を引き継いで所有期間を判定します(所得税法第60条)。「相続したばかりだから短期扱い」とは限らない点に注意してください。

売買代金を立木と土地にどう按分するか、概算経費控除と実額経費のどちらが有利かは、契約書の書き方ひとつで結論が変わります。個別の判断は税理士・司法書士等の専門家にご相談ください。

売れなかった場合に残る出口

相続土地国庫帰属制度

相続などで取得した土地を国に引き取ってもらう制度です。法務省の統計(令和8年7月31日現在の速報値、2026年8月21日公表)によれば、申請の累計は5,863件で、うち地目が山林のものは893件。国庫に帰属したのは累計3,008件、そのうち種目が森林のものは199件にとどまります。却下85件、不承認96件、取下げ1,102件です。

建物がある土地、担保権や使用収益権が設定されている土地、境界が明らかでない土地、所有権に争いがある土地は申請できません。管理に過分な費用・労力がかかる崖がある土地なども不承認です。山林でハードルが高いのは主に境界要件です。

費用面では、審査手数料が土地1筆当たり14,000円かかり、取下げ・却下・不承認でも返還されません。承認されれば10年分の管理費相当額として負担金を納めます。市街化区域外の宅地・田畑・雑種地は面積を問わず原則20万円ですが、森林は面積区分に応じた算定式です。1,500m²の森林なら「1,500m² × 24円 + 237,000円 = 273,000円」となります(法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」)。面積が大きいほど1m²当たりの単価は下がる設計です。

審査でどこが壁になるかは山林の国庫帰属と境界確認の現実にまとめています。

まず相続登記を終わらせる

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続で不動産を取得した相続人は、所有権の取得を知った日から3年以内に登記を申請する必要があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。施行日より前に相続が開始していた場合も対象で、期限は2027年3月31日です(法務局「相続登記が義務化されました」)。

名義が祖父のままの山林は、売却も国庫帰属の申請もできません。遺産分割がまとまらない場合は、期限内に自分が相続人であることを申し出る「相続人申告登記」で義務を果たす方法もあります。

林野庁の資料では登記簿上の所有者不明土地の割合は林地で28.2%と、全体の平均より高い水準にあると指摘されています(林野庁「所有者不明森林等の特例措置活用のための留意事項」)。これは「私有林の28.2%が所有者不明」という意味ではなく、地籍調査で登記簿上の所有者の所在が確認できなかった土地の割合です。それでも、名義の放置が売れない山を生む主因であることに変わりはありません。

市町村の森林経営管理制度

手入れが行われていない森林について、市町村が所有者の意向を確認したうえで経営管理を引き受ける仕組みが2019年4月から始まっています。所有権は移らないので「手放す」制度ではありませんが、管理負担を軽くする選択肢です。窓口は市町村の林務担当課になります。

まとめ

山林の相場を自分で確かめる要点を整理します。

  • 価格は「立木の価値」+「土地(素地)の価値」の二階建てで考える
  • 2025年3月末の全国平均は、山元立木価格がスギ4,026円/m³・ヒノキ9,494円/m³、用材林地の素地価格が10アール当たり40,533円(1haで約40万5千円)
  • 山元立木価格はすでに伐採・搬出費を引いた後の数字。そこに搬出係数を掛けるのは二重控除
  • 登記事項証明書・公図・課税明細・森林簿・境界資料を揃えてから査定を依頼する
  • 見積もりは「立木のみか土地込みか」「造林費用の負担」「境界確定の責任」「支払い時期」を揃えて比較する
  • 立木は山林所得、土地は分離課税の譲渡所得。按分と控除の選択で税額が変わる
  • 売れない場合は相続土地国庫帰属制度が選択肢だが、森林の帰属実績は累計199件。境界の未確定が最大の壁

相場が分からないまま最初の1社の提示額を受け入れると、それが高いのか安いのかを検証する機会は二度と来ません。公表統計から出した概算という物差しを1本持つだけで交渉の立ち位置は変わります。まずは森林簿と登記事項証明書の取り寄せから始めてください。

あなたの山林、
価値を調べてみませんか?

山林売買.comでは、全国の山林の売却相談・査定依頼を受け付けています。
「固定資産税が負担」「管理が大変」など、 お悩みの方はぜひ一度ご相談ください。

無料査定を依頼する

この記事について(山林売買.com編集部)

山林売買.comは株式会社RAISEONが運営する山林売買の専門サイトです。 法務省・林野庁などの公的情報にもとづき、編集方針に沿って制作・更新しています。

税務・法務の個別判断は税理士・司法書士等の専門家にご確認ください(免責事項)。